定理

$n$ 次元空間において

  • $\boldsymbol{v}(\boldsymbol{x})$:滑らかなベクトル関数
  • $S$:滑らかな閉曲面
  • $V$:閉曲面 $S$ 内部の閉空間
  • $\boldsymbol{n}(\boldsymbol{x})$:閉曲面 $S$ 上の点 $\boldsymbol{x}$ において、$S$ の外側に向かう向きの法線ベクトル($\vert \boldsymbol{n} \vert = 1$)

を考える。

divergence-1

このとき、以下の2つは等しい。

  • $\boldsymbol{v}(\boldsymbol{x})$ の発散 $\nabla \cdot \boldsymbol{v}(\boldsymbol{x})$ を $V$ 全体で空間積分した値
  • $\boldsymbol{v}(\boldsymbol{x})$ と $S$ の法線ベクトル $\boldsymbol{n}(\boldsymbol{x})$ の内積 $\boldsymbol{v}(\boldsymbol{x}) \cdot \boldsymbol{n}(\boldsymbol{x})$ を $S$ 全体で面積分した値

すなわち、

\[\int_V \nabla \cdot \boldsymbol{v}(\boldsymbol{x}) dV = \int_S \boldsymbol{v}(\boldsymbol{x}) \cdot \boldsymbol{n}(\boldsymbol{x}) dS \tag{1}\]

※ $\nabla$ 演算子やベクトル場の発散についてはナブラ演算子を参照

閉空間内の発散(= 流出・湧き出し)を全て足し合わせると、その表面から出ていく値の合計に等しくなる」と言い換えることもできる。

雑な証明

ベクトル場の発散は、その点における流出・湧き出し(流入・吸い込み)を表す(cf. ナブラ演算子)。

簡単のため2次元空間で考えて、下図のように閉空間 $V$ を微小間隔 $\Delta$ の格子状に分割する。

divergence-2

格子点 $\boldsymbol{x}=(x,y)$ における発散 $\nabla \cdot \boldsymbol{v}(\boldsymbol{x})$ は、以下の4つの和と考えることができる。

  • 点 $(x,y)$ から右側の格子点 $(x+\Delta,y)$ への流出量 $d_\mathrm{right}(x,y)$
  • 点 $(x,y)$ から左側の格子点 $(x-\Delta,y)$ への流出量 $d_\mathrm{left}(x,y)$
  • 点 $(x,y)$ から上側の格子点 $(x,y+\Delta)$ への流出量 $d_\mathrm{upper}(x,y)$
  • 点 $(x,y)$ から下側の格子点 $(x,y-\Delta)$ への流出量 $d_\mathrm{lower}(x,y)$

したがって、発散の体積積分は以下のように書き換えられる。

\[\int_V \nabla \cdot \boldsymbol{v}(\boldsymbol{x}) dV \simeq \sum_{\boldsymbol{x} \in V} ( d_\mathrm{right}(\boldsymbol{x}) + d_\mathrm{left}(\boldsymbol{x}) + d_\mathrm{top}(\boldsymbol{x}) + d_\mathrm{lower}(\boldsymbol{x}) ) \tag{2}\]

ここで、$(x,y)$ から上側の格子点 $(x,y+\Delta)$ への流出量 $d_\mathrm{upper}(x,y)$ は、上側の格子点 $(x,y+\Delta)$ から見ると流出ではなく流入なので、絶対値が等しく符号が逆
下側・右側・左側についても同じことが言えるので、

\[\begin{eqnarray} d_\mathrm{upper}(x,y) &=& - d_\mathrm{lower}(x,y+\Delta) \\ d_\mathrm{lower}(x,y) &=& - d_\mathrm{upper}(x,y-\Delta) \\ d_\mathrm{right}(x,y) &=& - d_\mathrm{left}(x+\Delta,y) \\ d_\mathrm{left}(x,y) &=& - d_\mathrm{right}(x-\Delta,y) \end{eqnarray}\]

よって $(2)$ の右辺の和を取ると、閉空間 $V$ 内の隣接格子点どうしでは流出・流入が打ち消しあってゼロになる(上図の赤矢印。破線は隣接格子点からの流出)。

しかし、閉曲面 $S$ と接する格子点の場合、その隣接格子点には $S$ 外部のものが存在する。
$S$ 外部の格子点は積分範囲 $V$ に含まれないため、この打ち消しが発生しない(上図のオレンジ矢印)。

したがって、$(2)$ 右辺の和を取ると、$S$ 外部への流出量だけが打ち消されずに残る。 これはまさに、ベクトル場 $\boldsymbol{v}(\boldsymbol{x})$ の $S$ 上の面積分そのものである。すなわち、

\[\int_V \nabla \cdot \boldsymbol{v}(\boldsymbol{x}) dV = \int_S \boldsymbol{v}(\boldsymbol{x}) \cdot \boldsymbol{n}(\boldsymbol{x}) dS\]