畳み込み積分とは
2つの関数 $f(x), g(x)$ から以下のようにして合成積 $h(x)$ を作る操作。
\[h(x) = \int_{-\infty}^{\infty} f(t) g(x-t) dt\]$h(x)$ は $f*g (x)$ などのようにも書かれる。
引数の和が一定($x$)となるような全ての組み合わせを掛けて足し合わせている。
畳み込み積分の意味
- $f(t)$:時刻 $t$ に発生した信号(音声など)の強度
- $g(t)$:信号が発生してから時間 $t$ が経過してから観測されるときの、信号の減衰率
のように捉えると、過去の時刻 $t$ に発生した信号が現在時刻 $x$ に観測されたときの強度は $f(t)g(x-t)$ で表される。
これを時間 $t$ で積分した
は「あらゆる時刻に発生した信号の重ね合わせが現在時刻 $x$ でどう観測されるか」を表している。
【NOTE】 この例の場合、未来に発生した信号は現在時刻では観測されないので、$x \lt t$ のとき
\[g(x-t) = 0\]よって
\[h(x) = \int_{-\infty}^x f(t)g(x-t) dt\]
畳み込み積分の特徴
交換
\[f * g = g * f\]証明:
\[\begin{eqnarray} f * g (x) &=& \int_{-\infty}^{\infty} f(t) g(x-t) dt \\ &=& \int_{\infty}^{-\infty} f(x-u) g(u) (-du) \qquad (x-t=u) \\ &=& \int_{-\infty}^{\infty} f(x-u) g(u) du \\ &=& g * f (x) \end{eqnarray}\]フーリエ変換
関数 $f$ のフーリエ変換を $F[f]$ で表すと、$C$ をフーリエ変換の定数(流儀によって値は異なる)として
\[F[f * g] = \cfrac{1}{C} F[f] F[g]\]証明:
\[\begin{eqnarray} F[f*g] &=& C \int_{-\infty}^{\infty} \left( \int_{-\infty}^{\infty} f(t) g(x-t) dt \right) e^{-ikx} dx \\ &=& \int_{-\infty}^{\infty} f(t) e^{-ikt} \left( C \int_{-\infty}^{\infty} g(x-t) e^{-ik(x-t)} dx \right) dt \\ &=& \int_{-\infty}^{\infty} f(t) e^{-ikt} \left( C \int_{-\infty}^{\infty} g(u) e^{-iku} du \right) dt \qquad (x-t = u) \\ &=& \cfrac{1}{C} \left( C \int_{-\infty}^{\infty} f(t) e^{-ikt} dt \right) \left( C \int_{-\infty}^{\infty} g(u) e^{-iku} du \right) \\ &=& \cfrac{1}{C} F[f] F[g] \end{eqnarray}\]