キャリア・アンカーとは

個人がキャリアを選択、形成していくうえで最も大切にする価値観。 マサチューセッツ工科大学ビジネススクールの組織心理学者であるエドガー・シャインが提唱。

一度形成されると周囲の環境や年齢の変化などに左右されにくいと言われる。

キャリア・アンカーの分類

1. 専門・職能別コアコンピタンス

  • 「専門家」としての能力を発揮したいタイプ
  • 自分の才能をフルで発揮し、専門性を高めていくことに満足感を覚える
  • 高い技能を身につけることに魅力を感じ、現場に近い所で、特定の分野でのスペシャリストとしての活躍を望む
  • 一方で、専門スキルや知識を発揮する機会が減るマネジメント職には、相対的に関心が低い
  • 自分の能力を存分に発揮できない部署などに異動すると、やりがいを見失ってしまい、仕事に対する満足度が大きく低下

2. 経営管理コアコンピタンス

  • いわゆる「出世欲が強い人」
  • キャリアを歩むにつれて、自分自身がゼネラル・マネージャーとして経営管理に携わりたいという気持ちが強いことに気が付くタイプ
  • リーダーや管理職としてチームをまとめたり、組織の階段をできるだけ高いところまで上り詰めることに充足感を覚える
  • 責任のある仕事をしたい、組織を動かしたいといった気持ちが強く、経営全般に関する能力獲得のため、若手のうちに様々な部署への異動することに関して積極的

3. 自立・独立

集団行動のための規則や手順、作業時間、服装規定などに束縛されることが苦手なタイプです。 あらゆる場面で、自分の裁量で仕事のやり方やペースを柔軟に決められる組織や職種(士業や研究職、フリーランスなど)に惹かれます。 自分が納得できるやり方で進めたいという気持ちが強いので、上司との距離が近く、すぐに提案や相談、ディスカッションができる環境で力を発揮します。

4. 保障・安定

安定した仕事や報酬など、安定性を最も重視する人です。 安全で確実と感じられ、将来の出来事を予測することができ、ゆったりとした気持ちで仕事をしたいタイプです。 雇用保障や終身雇用権などにこだわり、大企業や公務員として働くことを望む傾向があります。 大きな変化を嫌い、転職やキャリアチェンジには保守的で、働き方が変わることや他部署への異動に抵抗を感じるタイプです。

5. 起業家的創造性

新しい製品や新サービスを開発したり、財務上の工夫で新しい組織を作ったりなど、リスクを恐れず、何か新しいことを生み出すことに楽しみや充足感を覚える人です。 雇用者として働いている時でも、常に起業や独立の可能性を探っています。 社内にとどまってほしい人材であれば、新規事業や組織の立ち上げなどを任せるのも有効です。

6. 奉仕・社会貢献

自分の仕事を通じて「何らかの形で世の中を良くしたい」という欲求が強く、社会貢献に価値を感じるタイプです。 自分の能力を発揮できる仕事よりも、人の役に立つ仕事に惹かれます。 商品・サービス開発や医療、社会福祉、教育に関する仕事に就く傾向があります。 環境問題や地域問題に関する事業の立ち上げや起業をする人もいますが、それは手段にすぎず、彼らの根幹的な想いは「社会貢献」です。

7. 純粋な挑戦

誰もが無理と思うような難題や、手ごわい相手に打ち勝つことに満足感を覚えるタイプです。 彼らにとっての成功とは、不可能と思える困難を克服したり、相手に勝つことであり、専門を問わず「挑戦」を人生のテーマにしています。 自身の得意・不得意分野に限らず、「挑戦しがいがある」と感じたテーマには積極的に取り組み、異動や転職にも前向きです。 ハードワークも受け入れますが、ルーティンワークは苦手な傾向があります。

8. 生活様式

個人としてどうしたいかだけでなく、家族や会社のニーズとの調和を大切にするタイプです。 仕事とプライベート両方の適切なバランスを常に考えています。 在宅勤務制度や育児休暇制度など、柔軟な働き方ができたり、福利厚生のしっかりしている企業に惹かれます。 一方で、たとえ昇進だとしても、家族が犠牲になる転勤は辞退するといったこともあります。